いつも眠たい

bed is heaven

ただの妄想

 

Facebookでも、Instagramでも続く結婚妊娠出産報告。

いいねを押しながら、少しため息をつく。

渋谷で電車を降り、半蔵門線から東横線に続く駅構内。

 

 

突然腕を掴まれた。

 

 

 

びっくりするのと同時に、

懐かしさと、記憶が蘇ってくる。

 

謝りたいと思っていた人だ。

私はなかなか状況を飲み込めず、凍てついた。

 

2年前に別れた彼だ。

 

彼は私の入浴中、私の携帯をみて、浮気を察知した。

少し機嫌が悪いなと思いはしたが、そのまま一緒にお昼ご飯を食べてバイバイしたあと、『もう無理。』

 

一通のラインで別れた、彼だ。

 

また彼とも浮気で始まった仲だった。

 

 

彼の前に5年間付き合っていた人がいた。

その人のマンネリと、構ってくれない寂しさに嫌気がさして、魔が差した結果の浮気だった。

 

 

今思い返しても最低な女だ。

 

その当時浮気相手、ゆくゆく彼氏へと昇格した彼もまた、はじめは都合よく私をつかった。

 

彼は大学卒業後就職、地方へ赴任し3年間。東京本社へ栄転となった直後。

バーで出会った。

 

関係をもった当初は、おそらく好きでもなんでもない女だった。

というのも、私に長く付き合っている彼氏がいたことを知っていたからだ。

ただ、世話焼きだった私は自宅来たいと言えば招き入れ、料理をふるまい、洗濯をし、一緒に寝て一緒に出勤した。

 

その当時彼はフリーで、共に過ごす時間が増えていくに連れて、独占欲が高まったのであろう。

またそれを好きと勘違いしたのかと思うが、5年付き合った彼と別れてくれと言うようになった。

 

悩みに悩んだが、私もまたその人から与えられた新鮮味が忘れられず、元々付き合っていた人と別れた。

 

 

またそこから約半年後、新たに付き合った彼と別れることになる。

 

 

 

原因は、元々彼より、元彼よりも好きな人だ。

その人に叶う人はおそらくいない。

 

 

その人は、言ってみれば最低な人だった。

 

私には微塵も優しくない。

 

2番ならいいよ、だとか、お前付き合ってる人いるの?それならちょうどいいな、とか。

 

一緒に寝て何もしないくせに、キスだけはしてくる、よくわからない人だ。

 

ただ、私には優しくしないくせに他人には優しく、とても仕事ができる人だった。

 

彼は私を好きとは言わない。

顔はそこまでかっこよくないのに、一切女としての武器が使えない、また使わせないような人だった。

叶うはずがないからこそ、好きが深まってしまった。

 

ただ自分を大切にしてくれる人もまた、大切だった。

 

会っていた証拠はすべて消していたはずだった。ただ、油断した隙に携帯をみられ、付き合っていた人に見放された、それだけだった。

 

 

 

私は1人、当時26歳の男を傷つけてしまった。

そして、なくなると欲しくなるもので、別れた彼に執着し何回か連絡を入れた。

だがしかし彼は全く返事をしなかった。

 

 

 

そんな彼だった為、街で会ったとしても声はかけられないだろうと思っていた。

 

そして長らく、忘れていた。

 

 

 

久しぶりにあった彼は少し痩せていた。

長身でスーツが似合う彼は一層社会人の魅力に磨きがかかっていた。

 

掴んだ腕をパッと離して、目を見て『ひ、ひさしぶり。』

 

彼も自分自身の行動に驚いたのか、そのあとは何も話せなくなり、私も突然のことに驚きまた自分の不徳が招いた別れだった為なにを話せばいいのか分からず、少しのあいだ沈黙。

 

 

『あの、元気だった?』

 

彼は言った。

私のしたことを知っていて、なんて優しい人か。またどのような心境でそれを言ってるのか。

そんなことを思ったが、『ひさしぶり。元気だよ。元気?』と返すので精一杯だった。

 

 

『俺は元気。あの、来月結婚するんだ。それを言いたくて。』

 

 

 

 私はゾッとした。

彼の目が笑っていなかったからだ。

 

 

 

『あ、そうなんだ。おめでと。』

ひねり出した言葉だった。 

 

 

 

 

 

男女関係を清算するのは容易くない。

また、限られた若い女の時を過ごすために多数と付き合ったり関係を持つことは合理的である。

 

 

だがしかし、時に誰かを傷つけるということを忘れてはならない。

 

 

そんなことを思った。